また行くよ

 

3連休前の金曜日。

土曜出社もよくある弊社からしたら、久しぶりな3連休。

運良く今夜は外回りの予定が入っていて、直帰できる今日はいつもより1時間も早く上がれた。

 

1時間違うだけで、こんなにも気持ちが軽いことをわたしはもう知ってしまった。

帰りにお洋服やコスメを見て帰ろうか。

前から欲しかった靴を試しに履きに行ってみよう。

さらっとウィンドウショッピングを楽しんで、電車に乗る。

今夜はやけに混んでいるしそのせいで電車は遅れているけど、いつものように苛々したりはしない。

 

電車の中でぼんやり考える。

今夜は何を食べようか。

 

ああ、お寿司が食べたいな。

基本的にわたしはいつも自分の食べたいものがわからない。

食べるものを考えることさえ億劫になるほどに。

大好きな食べ物はお寿司。

だから迷ったときはとりあえずお寿司かお刺身を買って帰る。

最寄り駅の持ち帰り用のお寿司をテイクアウトすることが、先月くらいからマイブームだったけど、最近は21時に閉まるそのお店に間に合う時間には帰れていない。

 

今夜もウィンドウショッピングを楽しんだばかりに間に合いそうになかった。

だけど、どうしても今夜はお寿司が食べたい。

もうお腹がお寿司の気分だもん、と食べログで最寄りのお寿司屋さんを検索。

そういえば、と前から気になっていたお店に行くことにした。

 

なぜ、わたしがこんなにもお寿司が食べたいのか。

それはきっと、昨日久しぶりにバイト時代の友人たちと集まったからだ。

はじめてのアルバイトはお寿司屋さんだった。

時給がいいからと母が見つけてきた求人に、はじめて電話をかけて、すぐに面接に行ったあの日は、思えばわたしの人生の大事なターニングポイントだった気がする。

 

人は必要なときに必要な人と出会うというのは、本当かもしれない。

はじめてのバイト先では、途中店舗は変わったけど大学4年間お世話になった。

はじめは叱られるし、めちゃくちゃ混むし、凹むようなミスもたくさんしたけど。

声を出して、笑顔で接客して、お客さんや店の人たちと仲良くなれるのは嬉しかったし、楽しかった。

 

今でもまた働きたいと思うくらいに。

昨日久々に会ったバイト仲間たちも、同じようにまた働きたいと思っていたことが嬉しくて。

懐かしい気持ちに浸るためにお寿司屋さんに足を運ぶ。

 

 

最寄り駅のお寿司屋さんには、当然知り合いはいない。

カウンターの奥の席に通されて、とりあえずビール。

仕事終わりのビールがこんなにもおいしいことを、社会人になってから実感した。

明太子の天ぷらと、たらと白子の揚げ出し。

好きな握りを10貫。

ちょっと欲張りすぎた。

 

でも、ひと口ごとに噛みしめて食べる食事ってこんなにおいしかったっけ。

最近はコンビニの蕎麦とかサラダとか、

適当に作ったごはんをささっと食べて眠るだけの毎日だった。

 

こんなふうに噛みしめるように味わう食事って、久しぶり。

人と会話を楽しむ呑みの席はたくさんあったけど、どうしても会話に夢中になってしまって、

こんなふうに味わう食事とは違った気がする。

 

毎日毎日、繰り返しのように日々をこなす生活をしていると、心がしんでいく。

言葉や感情に気づかないうちに蓋をしてしまっている。

 

美味しいごはんというものは、感情の琴線にさえ触れてくる。

 

美味しくて、美味しくて、久しぶりのひとりでの外食は心の声があふれて止まらなかった。

 

また来よう。

今度はシャリ少でお願いします。