Fireplace Fruit Tea
つんと冷えた空気が体を刺す寒い朝。
うん、この寒さは12月の寒さだ、と納得して家を出た。
秋頃に買った40デニールのタイツでは、この寒さにはいい加減耐えきれない。
裏起毛のスキニーでも買おうかしら、なんて考えている今日この頃です。
唐突ですが、この時期の電車に乗るのが好きです。
ただし空いている電車に限る、ですが。
この時期の電車って、椅子の下の暖房があったかくて気持ちがいいから好きです。
羊毛コートに包まれて、首にぐるぐる巻いたチェックのマフラーに顔の下半分を潜り込ませて、自分を抱きしめるように体を縮めて歩く寒い冬。
電車の座席に座れば、足元の暖房が冷たくなったつま先から体をあたためてくれて、がたがた揺れるリズム感が心地よくて、いつのまにかうとうとしてしまう。
この時間が好きで、わざわざ少し早起きして早めに家を出て、鈍行に乗るくらいには好きです。
わたしが日常で電車を使うようになったのは、そういえば大学生になってからでした。
それまでは全然、年に二回ほど祖母の家に遊びに行くのに使うくらいだったなあ。
たまに乗る電車から眺める見ず知らずの街を眺めているのが楽しくて、その街にある色々な物語に想いを馳せていたっけ。
大学一年生の頃は実家から大学に通っていて、片道三時間半ずっと電車に乗っていた。
眠ったり、本を読んだり、文章を書いたり。
意外と家で机に向かっているときよりも捗ったりして、電車で過ごす時間は結構充実していた。
電車の揺れは心地よくて、何かをしていてもいつも途中で眠たくなってしまう。
前に用事があって出かけていて、昼過ぎに終わって帰っている途中に眠たすぎて、わざと山手線を2周くらいして、その間ずっと寝ていたことさえあった。
特に好きなのは、電車に入り込む朝日。
冬の朝の早い時間に電車に乗ると、家を出る頃には周りがまだ暗い。
電車が動き出すと少しずつ太陽が顔を出してオレンジ色の柔らかな光が差し込んでくる。
その景色を、目を細めながら眺めるのが好き。
さて。今日のお茶は『Fireplace Fruit Tea』
暖炉の炎のような赤いお茶。
ヒーターの前を弟と取り合った幼い頃。
パジャマから着替えるのが嫌で、ヒーターの目の前でのろのろと制服に着替えた学生時代。
懐かしいなあ。
幼い頃のことや、家族との思い出って、暖炉の炎のようなあたたかくて柔らかいオレンジ色をしているような気がする。
思い出にはそれぞれ色がある。
カメラのフィルターを変えたときのように、思い出にも明度や彩度があって、それはわたしにとってその思い出がどのようなものであるかで変わる。
冷たい色も、あたたかい色もあるけれど、いつかその全てが愛おしいものだと思える日が来たら、その思い出たちは優しい光に包まれたものになるのだろうな。
そんな日が来たらいい。いつかきっと。
P.S
そういえば、今日のアドベントカレンダーのチョコレートは靴下でした。
報告する相手もいないから、ここに報告。