Good Morning Herbal Tea
今日のお茶は『Good Morning Herbal Tea』
冬の冷たくて眩しい朝にぴったりのお茶。
……なのですが、わたしは夜にいただいています。
朝早起きするのはそんなに得意ではない。
そういえばずっと夜型なのです。
お風呂に入って、パジャマに着替えて、お布団に潜り込んでからがわたしの楽しみな時間。
学生時代はずっと、本を読んでいた。
一度読み始めるとやめられなくて、ずっと読み進めてしまって結局そのまま空が明るくなるまで読みふけったことも何度もあった。
物語の世界は、眠りの中の、夢の中の世界よりもずっと当時のわたしにとっては魅力的だった。
今でも物語は大好きなのに、あまり時間をとれなくなって読まなくなってしまった。
それでもいつも誰かの言葉や物語に触れてから眠りに落ちている。
言葉や物語に触れて、もっと読みたいのにもう目を開けていられなくて、うとうとと夢と現実の狭間を行ったり来たりして、気がついたら夢の中に溺れている、あの感覚が。あの時間が。
今でも好き。
小中学時代は速読を習っていたから、いかに早く読めるようになって、多くの物語に触れることを目的に本を読んでいたけれど、今は全然違う。
読む回数が少なくなったぶん、ひとつひとつの物語をゆっくりじっくり咀嚼して、適当に読み飛ばしたり斜め読みするような文章が一文もないように、しっかり飲み込む。
それから自分の心がどんな感情を抱くのか、何を思うのか、そういった心の反応や感性に耳を傾ける。
好きな文章は繰り返し、繰り返し読む。
たくさん本を読んでいたあの頃もよかったけれど、今のほうがずっと出会った物語が自分に寄り添ってくれているような、そんな気がする。
そんなわけで、わたしは昔からずっと夜型で朝早起きするのは苦手。
最近はバイトの日だけはとっても早く起きて、シャワーを浴びてゆっくり丁寧にメイクして、出かける用意をする朝も好きだけど、起きなくていいのなら眠っていたい。
小さい頃もそうだったけど、一時期毎朝早起きしていた時期があった。
それはまだ父が家にいた頃。
いなくなる、少し前。
父の職場はケーキ屋さんだったから、仕込みや準備があって朝は早い。
そんな父がある日めずらしく早く起きたわたしを褒めてくれて「早起きは三文の徳って言うんだよ」って教えてくれた。
早起きすると3つもいいことがあるの?と無邪気にいいことの数を数えようとするわたしに、父はひとつ、とっておきのいいことをくれた。
早起きをした朝だけ、とびっきり美味しいロイヤルミルクティーを淹れてくれた。
ミルクに茶葉を入れてコトコト煮詰めて甘いお砂糖をたっぷり入れた、濃厚で優しい最高のロイヤルミルクティー。
わたしはあのミルクティーが本当に大好きで、それから毎朝早起きをして父にロイヤルミルクティーをせがんだ。
その日から、3つのいいことのひとつ目はロイヤルミルクティー。
他のいいことなんていくらでも出てきた。
パパと過ごす時間ができたこと。朝日が眩しいこと。朝の空気が気持ちいいこと。パパに褒めてもらえること。ゆっくり朝ごはんを食べられること。
いいことなんてたくさんあった。
大人になった今は、ちょっとお高い喫茶店で一杯1000円以上するロイヤルミルクティーだって飲んだりするけれど。
それでもやっぱりあのミルクティーには敵わない。
わたしにとってはずっと、あのロイヤルミルクティーが一番。
少し前に、6年越しに再会した父と喫茶店でお茶をした。
懐かしくなってロイヤルミルクティーを頼むわたしに、父は「パパのロイヤルミルクティーとどっちが美味しい?」なんて言ってくるものだから、わたしが懐かしく愛おしく思っているあの朝の思い出を父も持っていてくれたことが嬉しくて「パパのロイヤルミルクティー!!!!」と、全力で答えた。
あのロイヤルミルクティーをいつか、もう一度。
そんな朝を今でも夢見ている。
P.S
そうそう。
昨日食べ損ねた焼き林檎を食べたら、こっちはなかなか美味しかったです。